日々の生活絵図鑑 real illustration

2017.01.25 Wed 比ぶ者なき

比ぶもの無き表紙
比ぶ者なき原画

気付けば丁度この仕事の話が来ていた7月以来更新していなかった…。
この小説はなかなか面白かった。
自分が10代で学んでいた歴史の内容が今の教科書の内容と違う所があるように
時代が変わって色々新しいことが発見されると歴史の認識も変わって来る。
丁度、天皇陛下の退位も話題になっているだけに興味深い内容。

玉座を描いて欲しいというのが最初の依頼。
調べてみると奈良に復元されたものがあるようだが
装飾も殆ど無くあまりにもシンプルで絵になりにくそう。
ということで打合せ後何度がやり取りがあり背景も一緒にという絵になった。
いつもはもの1つモノを描く依頼が多いだけに自分としては新鮮な装画。

ノワール小説が多い馳さんの初めての歴史小説のようで
出版社も気合いが入っていたように思えたが、
思ったよりも宣伝されていず発売後は心配していた。
年末に原画を引取りに行った時には以外と売れていて重版もかかりそうとのこと。
面白い小説でしたので是非読んでみてください。

馳星周/著 中央公論新社 bookwall/装丁

2016.07.11 Mon 食品廃棄の裏側

食品カバー
食品オビ

カツを袋詰めにした絵というアイディアも出ていたが、
白バックに揚げる前の白いカツで死人?のようなイメージで
薄寒そうな雰囲気が出来ないだろうかとという話になった。
白バックに白は何度か描いた事があったけど、
白い物を描く場合、一度ではなかなか立体感と色幅もある絵は描けないので
濃いめの色や原色を点在させながら立体感を出して描いてから、白で上から描く。
僕は主にリキテックスのソフトタイプを使っているので
ガッシュと違って下の色が透けるのでそれを繰り返し立体感と色幅を出す。
最初から仕上がりイメージは出来ていたけど、
カツの衣が細かいだけに描いては上描きして、描いては上描きにとても苦労した。
締切内で原画(絵)単体としてはもう一つ説得力が足りないというか、
寂しいかなとも思ったけど、そこはイラストレーション。
デザイナーさんの力で白場をいかし、文字が入ってぐっと良くなって、
絵画じゃないからこれで良かったんだと一安心。
装画の仕事は共同作業である所が面白いよなと久々に思った。

石渡正佳:著 アルビレオ:装丁 日経BP社

2016.06.22 Wed ウルトラQ+ウルトラマンシナリオコレクション

ウルトラマン

今年はウルトラマン生誕50周年だそうだ。
ということでそのシナリオをまとめた本が復刊されるという事で絵を描いた。
ウルトラマンにまつわるものという事でヘルメットとベーターカプセルを描く事に。
モチーフの資料を得る為に渋谷の円谷プロへ編集の方、デザイナーの方と伺うと
何と、フジ隊員役の桜井浩子さんが出ていらした。
編集の方と挨拶していたが、気さくな方で50年たっても印象は変わらないところが凄い。
結局、渋谷では写真で使えそうな資料が見つからないので、郊外の制作オフィスへ。
以前は祖師谷がウルトラマンの街だったが、今は南武線沿いの街に移っている。
外観には円谷とかウルトラマンという言葉や看板は一切無い
工場のようなところで、今も脈々とウルトラシリーズのセットが作られていた。
ヘルメットもベーターカプセルもオリジナルはもうないという事で
レプリカを資料として撮影させていただき描かせていただきました。
来年はウルトラセブンが50周年で続刊があるようです。

「ウルトラマン+ウルトラQ 金城哲夫シナリオコレクション」
出版社:復刊ドットコム 装丁:装丁:谷口博俊(next door design)

2016.06.11 Sat ZOOLOGY 伊藤彰剛展

ZOOLOGY

装丁家・ディレクター坂川栄治さんが運営するクーギャラリーで現在開催されている
イラストレーター伊藤彰剛さんのZOOLOGYのトークショーに行って来た。
伊藤さんは以前から気になっていたイラストレーターで、
同じイラストレーターの会、TISに所属していながらなかなか縁がなかったので、
昨年自分の個展の時に案内を出した所、いらしていただき知合いになった。
水彩で描く作家さんは淡く明るい絵を描く人が多い中、
動物をセンス良く擬人化して東欧のどこかセンチメンタルな空気感が漂い
顔料の粒子を利用したざらっとした質感がとても好きだった。
クマやウサギやネズミのキャラクターで絵本になったら質が高い絵本になるし欲しいなと
思っていたけど、そこは世の絵本の編集者も見逃してない。
自分も昨年の個展で知り合った、G社のK編集長さんがいらしていて、早速興味をしめしていて、
ストーリーが出来れば直ぐに絵本の話に繋がりそうな話をしていた。
トークショーで伊藤さん自身も是非後々にも残るような絵本を作りたいと言っていたので、
実現してくれる事を望んでいます。出版されたらもちろん買います!
伊藤彰剛展「ZOOLOGY」は6/30までクーギャラリーでやっています。是非!

クーギャラリー:
新宿区荒木町11-48第一太田ビルB1
13:00〜19:00(日・祝休) 03-5315-4620

2016.06.01 Wed 死に金

死に金

福澤さんの装画は3冊目。他社で2冊続いていたけど、
3冊目はその出版社からは来なかったら、別の出版社から依頼が来た。
この小説は今まで描いて来た2冊にくらべ、福澤さんにしては静かな展開という気がするが、
裏のその世界に精通している著者さんゆえのメッセージ性のある小説でした。
デザイナーさんからは祭壇に遺骨が置いてあるように札束を描いて欲しい。
文庫本なので直球勝負でいきたいという依頼。総額3億円だったか6億円だったか。
自分にこれだけあったら好きな絵だけ描いて過ごせるのにと思ってしまう(笑
文庫本になって特に帯びではうたわれてはいないけど、
この小説は実話を元にしているそうです。
作り物の小説よりドキュメンタリー好きの自分にはとても興味深いストーリーでした。
本当にこういう小説みたいな事ってあったりするから人生は小説より奇なりです。

「死に金」 福澤徹三/著 文藝春秋 装丁:関口信介